お客様はモノを買うのではなくコトを買う
この本を読んでみて、一番印象に残った言葉が今回のタイトルです。セブンイレブンをここまで成長させた著者の鈴木さんの言葉は、一つ一つが経験に裏打ちされたよりしっくりくるものばかりでした。
その中のタイトルの補足になる一文を紹介します。
今は先行きが不透明で不確実な時代です。そうなると、いまもっているものを失いたくない、損をしたくないという損失回避の心理が広がる。
ただ、その反面、何も消費したくないわけではなく、正当な理由があれば、何かを買いたいと思っている。
つまり、”消費を正当化する理由”を求めている。
その一例として、一年間がんばったのでごほうびとして高級ブランド品を買う、家庭の健康のために多少高くても安全で上質な食品を買う、かわいいペットのためにおしゃれな服を買うといったケースです。
これは、消費が、単にモノそのものを買うのではなく、イベント性をもつようになったことを物語っているのかもしれません。
消費を正当化できる理由や選択を納得できる理由があると、消費に意味が生まれ、イベント性をもつようになる。別のいい方をすれば、モノを買うのではなく、コトを買う。
とも。
予定調和を崩し、新しい価値を提供すること
このモノが売れない時代に、これだけ販売しながら売上を伸ばしてきたセブンイレブンの考え方は、勝つべくして勝っているんだなと、この紹介した一文からも感じられますね。
そして、さらに売上を伸ばすためにこのようなことも言っていました。
商品選択に疲れているお客様に選択の納得性を感じてもらう基本的な原則は、”二匹目のドジョウねらい”の発想から抜け出し、予定調和を崩し、新しい価値を提供することです。
新しい組み合わせ方や結びつけ方を見つけ、新しい提案をする。”手軽さ”と”上質さ”という、現代の消費者がもっとも関心をもつ二つの座標軸のトレードオフの関係で空白地帯を見つけ出す。
ついつい、誰かがこの方法で成功しているからと同じことを始めるのは、最初に始めるきっかけとしてはもちろんそれでいいと思いますが、
その後は、いかにオリジナルとしての新しい価値を提供していかなければ、継続的に売上を伸ばすことができないということですね。
今回のまとめ
セブンイレブンは小売業ではありますが、この「お客様は価値を買いたい」という言葉は、どんな業種にも当てはまると思います。
あなたのレストランの価値、あなたの美容室の価値、あなたのシェアオフィスの価値、あなたのお稽古教室の価値など、それぞれの分野で価値を考えながら提供し続けていかなければ、長く事業を続けることができないということですね。